2026年3月、東京・九段下の歴史的建築「kudan house」にて、ESDプログラム『モリキャラ×LABO』第2弾を開催しました。
本プログラムは、東邦レオと東京大学による共同研究として、自然素材・建築・庭園を「生きた教材」とし、子どもたちが自ら考え、体験し、創ることを通じて “持続可能な未来の暮らし”を探求する学びの場です。
第1弾からの進化として、第2弾では「住処(すみか)」をテーマにした1日完結型プログラムへと再構築。小学1〜3年生を対象に、70組以上の申し込みをいただき、その中から選ばれた31組の親子にご参加いただきました。
プログラムの背景 教育を通じて「空間価値」を問い直す
東邦レオはこれまで、都市緑化やランドスケープの領域において「自然と人の関係性」を問い続けてきました。その中で見えてきたのが、空間の価値は単なるデザインや機能だけではなく、「どのように使われ、どのように感じられるか」によって決まるという視点です。
モリキャラ×LABOは、子どもたちの感性を通じてその“見えにくい価値”を引き出し、可視化する取り組みでもあります。
第2弾のテーマ 「100年後の未来にとって、やさしい住処とは?」
舞台となるkudan houseは、約100年前に建てられた洋館。時を重ねながら使い継がれてきたこの場所には、現代にも通じる多くのヒントが詰まっています。
当日は、親子でこの空間を探検しながら、
- 長く使われ続ける建物の心地よさ
- 壊して新しくするのではなく、活かし続けるという考え方
- 生きものの視点で環境を捉えること
を体験的に学んでいきます。
探求ツアー 「九段ハウスのひみつを探せ!」
プログラムの導入は、建物内を巡る探求ツアーから始まります。子どもたちは「いつもと違うところ」を探しながら、壁や床、外壁の凹凸など、さまざまな素材や仕上げに注目し、建物の中に潜む技術に気づいていきます。
普段は意識されない建築の裏側にある技術が、遊びの中で自然と浮かび上がる仕掛けです。
職人との出会い 手の感覚でつくる「左官」という技術
続いて登場するのが、長年東邦レオと協働してきた左官職人。実際のコテさばきの実演を目の前で見ることで、子どもたちは素材が“変化していく瞬間”に触れます。
土や砂、石灰といった自然素材を、その場の環境や状態を見極めながら仕上げていく左官技術は、1000年以上続く日本の伝統的な建築技術です。ここでは、知識ではなく「身体感覚としての学び」が生まれます。
版築体験 土を積み重ねる、もうひとつの建築
庭にある版築(はんちく)のアートを題材に、子どもたちは実際に土を重ね、固める体験を行います。
この版築には、都市の工事で出た土を再利用するという「循環」の思想が込められています。ただ新しくつくるのではなく、あるものを活かしながら未来につなぐという視点を、体験を通じて学びます。
創造の時間 モリキャラの「やさしい住処」を考える
午後のワークでは、子どもたち一人ひとりが庭に住む妖精の「レオ」のために、午前中につくったはんちくを使って住処をデザインします。使う素材は、葉や枝、土などの自然素材。
「どんなふうに住んでほしいか?」
「どんな気持ちになる場所なのか?」
正解のない問いに向き合いながら、自分なりの“やさしさ”を形にしていきます。
未来へつながる学び GREEN×EXPO 2027への接続
本プログラムは、2027年に開催されるGREEN×EXPO 2027へとつながる取り組みでもあります。
東邦レオは、大阪・関西万博で使用された建材をリユースし、次の博覧会へとつなぐプロジェクトを進めています。この取り組みの根底にあるのは、「価値や想いを次の時代へ引き継ぐ」という考え方。子どもたちが体験した「住処づくり」は、未来の社会や都市を考える入り口となります。
プログラムを支える専門家たち
- 吉村 誠(左官屋)
- 歴史を紡ぐ日本を代表する左官職人として全国的に活躍。
- 篠丸 寛(技術アドバイザー)
- 45年以上に渡って建築分野における省エネ・サスティナブル領域の技術開発や新製品開発など中心に担う技術アドバイザー。一級施工管理技士、二級建築士。
- 東京大学 大学総合教育研究センター
- 副センター長・栗田佳代子教授ほか、教育研究の専門家が参画。
- 舟引 美咲(東京大学大学院)
- 企業の文化資産を教育に活かすESD研究者。本プログラム名「モリキャラLABO」の命名者。
おわりに 学びを「体験」から「社会実装」へ
モリキャラ×LABOは、単なる教育プログラムではなく、空間・技術・人の関係性を再編集する試みです。
子どもたちの視点から生まれた気づきは、これからの空間づくりや社会のあり方を考えるヒントになります。今後も東邦レオは、教育と実践をつなぐ取り組みを通じて、持続可能な未来の風景を創造していきます。
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